【生命の息吹宿る】ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルドについて【野生の世界】
ゲーム史に残る傑作が、ここに在り。
発売してから一週間ほどで、ようやくストーリーの方をクリアしました。
発売から、プレイしすぎないように程々に…と思いつつ、一日全部をブレスオブザワイルドに費やして、世界を堪能し尽しながら、少しずつストーリーを進めていき、苦節約80時間の末に、やっとEDを見ることが出来ました。
ということで、その80時間の間にゲームに対して感じたことや、ストーリーやキャラに対する思いなどを綴っていきたいと思います。
前半はゲーム全体に対する評価等を、
後半ではストーリーに対する感想を、ネタバレを含みつつしていきます。
なので未だにEDをご覧になっていない方や、ネタバレを見たくないという方は注意して閲覧してください。
そして先に謝っておきます、相当長い記事になってしまいました。
ですが、特に最初と後半には言いたいことが書いてあるので、読んで頂ければ幸いです。
それでは、今こそ語ろう…この一週間、なにがあったのかを。
ゲームに対する思い
ブレスオブザワイルドとは
今作のゼルダの伝説ブレスオブザワイルドは、知っての通りゼルダ初のオープンエアー(オープンワールド)です。
「ゼルダの当たり前を見直す」というコンセプトの元に開発されたこのタイトル。
今まで積み上げてきた伝統的な仕組みやスタイルなどを全て取っ払い、新しく生まれたこの世界は、しかしながら世界のことを知れば知るほど「あ、これはゼルダだ」という思いが強くなっていきます。
そもそも全ての始まりである初代ゼルダは、今回のブレスオブザワイルドに近い形態だということは周知だと思われますが、今回のゼルダは「当たり前を見直す」というコンセプトと同時に「原点に帰る」というコンセプトも含まれていると、数々のインタビューで語られています。
なので、オープンエアーとなった今回のゼルダが完全にゼルダとは離れてしまったかと言えば全くそんなことはないのです。
今作が発売される前まで存在していた「ゼルダの当たり前」というのものが明確にユーザー間で形成されたのは時のオカリナからだと思いますが、それ以後にも、ゼルダは幾度も広大なつながりのある世界を表現するために、様々なアプローチを掛けてきました。
ムジュラの仮面では、緻密に練られたキャラクター達のサブストーリーによって、世界に大いなる深みが出ました。
風のタクトでは、広大な海をシームレスに移動させることにより、擬似的にオープンワールドを再現しました。
トワイライトプリンセスは時オカの純粋なリメイクでもあり、前作の風タクとは正反対のリアルタッチのダークな雰囲気で、多くの人を魅了しました。
スカイウォードソードでは、モーションコントローラーにより画期的な戦闘が出来て、そういった遊びの方面も充実させつつ、濃密に描かれたストーリーで世界に引き込まれていきました。
そして、そんな今までのゼルダの要素を、ゼルダ史上最も広大なハイラルに詰め込むことで、今回のブレスオブザワイルドという傑作が誕生したのです。
だから今作は、今までのゼルダを無くしたのではなく、新たなステージへ昇華させたものだと考えています。
ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド
それは、今までのゼルダの伝説という作品の総大成なのです。
活きている世界
と、概念的な事を連々書いていても仕方がないので、ゲーム内容の話をしましょう。
まず僕が嬉しかったのが、マップ名です。
所々に今までのゼルダシリーズに登場した地名やキャラクターの名前が散りばめられてて、地図を眺めているだけでにやりとできる素晴らしいファンサービスでした。
特に、僕が一番最初にプレイしたゼルダシリーズ「夢を見る島」関連の単語も混じっていたのが本当に嬉しかった!やっぱり最初にプレイしたゼルダには特別な思い入れがあります。
そして何と言っても、キャラクターのセリフの量。これがほんとにすごい。
雨が降っていれば勿論その状況に合うセリフが表示されますし、他にも細かい状況に対応したテキストが表示されて、非常に凝っています。
この辺は、同じくテキストの変化が凄いと感じた「ムジュラの仮面」を彷彿とさせますね。
そして、世界にはいくつもの村や街が存在していますが、そのどれもがよく作り込まれている。
人々が本当にその街で生活しているんだという説得力が凄まじく、街を隅々まで見ているだけでも、時間がかかってしまいます。
また馬宿にいる人達も、世界を渡り歩いている旅人達も、そのすべての要素がかみ合って、キャラクター達がその世界で本当に活きているんだなという感覚がすっと入ってきました。
そして活きているのは人間だけではありません。
動物や魔物も当然、当然その世界に存在するわけです。
その魔物たちも、ねぐらに大勢でたむろしていたり、水の中を泳いでいたり、周りの景色に擬態していたりと、ただそこにいるわけではなく彼らもまたその世界で活きているという事が伝わってきます。
このような、細かく作り込まれたキャラクターたちによって、世界そのものが活きているかのような感覚が染みていき、やっていけばいくほど世界にのめり込んでいくという構造になっており、発売からすぐはもうほんとに寝る間も惜しんで冒険していました。
とにかく本当にやめ時が見つからないというか、とりあえずこれを終わらせようかと一つサブミッションをやると、そのミッションをやっている最中に新たなるミッションに遭遇したり、気になるポイントを見つけて「あそこに何かあるんじゃないか」と横道にそれたりしてしまいます。
また道中強敵に出会い、本来なら避けて通るべき道のはずですが、自分みたいな人間はとにかく挑戦したい人間なので、一回だけチャレンジしてみようと息巻いて行ってみれば、存外に悪くない成果で(でも死んでいる)「これなら何回かやれば倒せるんじゃないか」と本来掛けなくてもいい時間を掛けてしまったりしちゃうことも常々あります。w
それでも、そんな時間を過ごしていることが心地よく、充実した時間であったことは、確信を持って言えることです。
システムについて
今作では、今までと比べて実に多種多様な武器防具が存在しています。
武器については、使い続けると壊れてしまうというシステムのお陰で、僕みたいな人間はちょっとしたレア武器ならばすぐに節約しようとして、結局いつまでもその武器を使えず武器欄を圧迫したままなんて言うことが多かったです。
それにしてもほんと、使っていくとポンポンと武器が壊れていくので苦労しました。
勿論その分そこらに武器がいっぱい落ちているので、逐一拾っていくわけですが。
その御蔭で武器欄がいつまでも狭く感じてしまって…ポックリンには本当に何度もお世話になりました。でも要求量が段々跳ね上がってきたのは絶許。
逆に盾や弓などに関して困ったことはそんなになかったですね。
自分は結構両手剣を使うことが多かったので、盾にはそんなにお世話になりませんでした。
盾アタックを決めるよりも、攻撃を避けてからのラッシュのほうが好きだったので。
それと、盾アタックでガーディアンのビームを跳ね返せることは割りと終盤で気づきました。それまではそもそもガーディアンとの戦闘を避けていたので、気づいてからは無闇に何度も跳ね返しに行ったものです。
そして、リンクが身につける防具や衣装について。これらはほんとに色んな種類があってよかったですね。
とてもカッコイイ服装から、リンクがまさかそんな姿に…という衣装。そしてファンにはとても嬉しい、私個人的にもすごく喜んだダーリン装備まであるとは…
ちなみに僕がこの一週間で一番使っていたのはカカリコ村に売っていた忍びの服ですね。不意打ちならばお手の物ですし、強化すれば夜間移動が早くなるので本当に便利でした。
どうやら、祠を全てクリアすると、例のアレが手に入るようなので、とにかくこれからは祠を探して回ることになりそうです。
BGMについて
今作は、今までのゼルダとは違い、BGMらしいBGMはあまりなく、環境音のようなBGMだということは発売前に知らされていましたが、ちゃんと街や村、そして場面場面にはしっかりとBGMが存在します。
全体的にピアノで演奏される事が多い今作のBGMは、ほんとに雰囲気が好きです。
ガーディアンに遭遇したときの、緊迫感溢れるピアノの前奏。アレのお陰でしばらくはトラウマになりました。
街や村のBGMで印象に残ってるのは、ゾーラの里とリト族の村ですね。
ゾーラの里はいつも通りのBGM。里全体も美しい感じで、定評のある任天堂の水描写が素敵でした。
そしてリト族の村のBGM!最初の前奏で、また新しい感じのBGMなのかなと思っていたら…こんなん興奮するに決まってるやろ…
風タクの竜の島のBGMのアレンジで、原曲とは違いどこか哀愁の漂ったアレンジ。それが少数民族で数の少ないリト族の村という背景にぴったりと合っていて、つい景色を眺めながら曲に聞き入ってしまいました。
そしてやはり、今作のメインテーマは話題に挙げなければなりません。
このメインテーマは、所々イベントシーン等でフレーズだけが入っていたり、あの場面で激しいアレンジに使われていたりと、実に様々な場面で使われたりしますが、今作では一番好きなBGMです。
このメインテーマは、このブレスオブザワイルドの、広大で奥行きのある世界と言うものがうまく表現されていると思います。
前奏から曲に入るまでの、広大な世界が目の前に表れた感じ。そこから中盤までの、冒険をしていて、その最中に出会う様々な発見。そして転調してからも、曲を聴くだけで瞼の裏にハイラルの情景が浮かぶようです。
何度もいいますが、本当に素晴らしいBGMだと思います。
ということで、ここまではゲームの概要的な部分について触れてきましたが、ここからはストーリーの核心へと迫りたいと思います。
ネタバレがべっこり絡んできますので、閲覧にはどうかご注意下さい。
※ネタバレ注意※
ストーリーについて(ネタバレ注意)
ストーリー進行
今回のストーリーは、主に4つの四神獣(ダンジョン)を周り、全てを開放してラスボスへと向かうという感じですが、この4つというのもムジュラの仮面を彷彿とさせます。
しかしそれだけではなく、世界の各地には100年前の記憶を思い出すポイントが散りばめられており、そこを巡ることによって、背景がわかってくるといった構造になっています。
今回のオープンワールドではどこへ行くのも自由なため、ストーリーをより楽しませるための仕掛けなわけですが、これが今回のオープンエアーに上手くハマっているなと感じました。
思い出す記憶の順番はプレイヤーによって絶対にバラバラになると思いますが、記憶を思い出していく毎に、他の記憶での出来事が「ここはそういうことだったのか」となっていくので、記憶を全て集めればきちんと背景がわかるようになっています。
四神獣と四英傑
今回事前情報で、大きなダンジョンはなく謎解きは祠のみという事を噂で聞いていたので、真偽の程はわかりませんでしたがそうなんだと思いながら進めていたのですが、神獣の内部がダンジョンになってるのは驚きましたね。
神獣のダンジョンは、それぞれ神獣を動かすという機能があり、それを利用しながら進めていくという、たしかに今までのダンジョンのボリュームに比べれば短いものでしたが、ダイナミックな仕掛けでフロア全体が動かせるのはかなり面白かったです。
90度傾いたりしてフロアがガラッと変わるのは、ロックビルの神殿を思い出します。
ちなみに、神獣を攻略した順番は水→雷→風→炎の順番です。
恐らく多くの方が水が最初になったのではないかと思います。
ミッションを順当に進んで、その後道筋に沿って進めばキャラが誘導してくれるので、自然とゾーラの里に足を運ぶと思います。
シド王子と英傑ミファー
かっこよさげなBGMと共に颯爽と現れたイケメンゾーラ族シド王子。
最初はなんか残念イケメン系なキャラかと思ってたんですが、蓋を開ければただのイケメンでした。私もシド王子ファンクラブに入りたいと思います。
神獣ヴァ・ルッタを制御するために共闘する場面、まさかのボイス付きでBGMもかっこよかったので、物凄く熱かったです。この共闘のお陰で一気にストーリーにのめり込めましたね。
そして、恐らく本作で最も多大な人気を誇っているであろうキャラ、ミファー。
まあ、そらこんなん人気でなきゃおかしいわって感じのハイパーいい子片思いキャラでしたね。
ミファーの祈りもかなり便利で、ボスとの戦闘でも、凡ミスで死んでしまったときも、色んな局面で本当にお世話になりました。
ヴァ・ルッタのダンジョンは、最初のダンジョンだけあって結構苦労しました。まずマップを取らずに進めようとしたために、神獣操作が出来ないまましばらくウロウロしていた記憶があります。
その後、神獣操作とはなんぞやと色々試しながら探り探り進めて、しばらくしてやっと水を利用できるということが理解できたと思います。やはり水のダンジョンは構造を把握するのが難しい…。
ゾーラの英傑ミファー
リンクに片思いしつつも、その気持を直接伝えることはなく、それでも常にリンクのことを思いながら癒やしの力を使い続けた彼女。
100年前、厄災ガノンが復活する直前、ゼルダに何かを伝えようとして伝えられなかったその内容。
それは恐らく、誰かを思う気持ちが大事、ということを伝えたかったのでしょう。
結局その内容を伝えることは出来ませんでしたが、その思う心は確かに、100年前ゼルダの力を覚醒させる要因に成りました。
彼女は、本当に大切なことが何かを、きっとリンクと出会ったときから理解していたのでしょう。
彼女の祈りは、しっかりとリンクとゼルダに届いたのです。
ルージュ様と英傑ウルボザ
まず、ゲルド地方に着いて見えるのは、一面どこまでも続く砂漠。
最初馬を連れて行こうかと無理やり押し込もうとしましたがすぐに諦め突入。
様々な経緯がありましたが、なんといっても驚いたのは、街への侵入方法。
こんなもん子供が何かに目覚めるだろ!いい加減にしろ!
特殊性癖を惜しみなく出していく事に定評のある任天堂は、今回も絶好調ですね。
そして街に侵入し、いざ現在の族長の前へ。
ルージュ様まじわらわ。逐一リンクの身を心配してくれるところとか、日記を見ると自分の立場に悩んでいたり、そこでもまたリンクについて書いていたりというところが実に良きです。
イーガ団のアジトに潜入して、何度も見つかってやられて、なんとかボスまでたどり着き、コーガ様というツッコミどころ満載なキャラを倒したりして、いざ神獣戦。
ルッタのときも思いましたが、神獣戦は意外とあっけないですよね。ここはもう少し難易度を上げてほしかったところがあります。
そして神獣内部、ここも結構苦労しました。
電気をどうやれば流すことができるか結構悩んで、神獣をいじってたらやっと出来たみたいな感じでなんとかボスまで漕ぎ着けられました。
そして噂の雷のカースガノン、こいつが中々強い。
素早い動きで翻弄し、電気で装備を外してくるので迂闊に近づけず、ミファーの祈りがなければやられているところでした。
シド王子に貰ったまま使っていなかったシビレ薬を飲んでなんとか勝てましたが、カースガノンの中でもやつは最弱…ではなく間違いなく最強でした。
ゲルドの英傑ウルボザ
彼女は英傑の中でも最もゼルダ姫のことを案じていた人物だと思います。
リンクに放つ最後の言葉でも、「姫さんを頼んだよ。あ、ついでにこのハイラルね」と言うくらいなので、本当に心の底からゼルダを案じていたのでしょう。
このゼルダ姫への思いが、彼女にとっての誰かを思う心だと思います。
そしてゲルド族という種族は、ガノンと深い因縁があります。
無論知っての通り、ガノンは元は百年に一度生まれるゲルド族の首領ガノンドロフであり、時のオカリナ以後のどの時系列でもその姿を見せています。
ブレスオブザワイルドの時系列ではどうやら、その時代から何万年と立っているようなので、最早ゲルド族という面影はありませんが、その伝承は今でも語り継がれてるようです。
100年間ずっとガノンを封じるために力を使い続けているゼルダ、そして元ゲルド族であるというガノン。
それらに対する彼女の怒りには、計り知れない力が含まれています。
リト族と英傑リーバル
続いて訪れたのは、他の村と比べて人数が少なく手狭に感じるリト族の村。
住民たちの話を聞いて気になったのが、皆の家系図どうなってんの?ってことです。
なんかお姉ちゃんやら妹やら言う人が多いような…触れてはいけない…
元々リト族はゾーラ族から派生した種族なのですが、今回ゾーラ族とリト族が共存しているという謎の現象が起きています。リト族の方はあまり発展していないというのは、こういう所が関係しているのでしょうか。
そして勿論、今回も神獣相手に共闘する展開があるのですが、正直な所他の所に比べて、英傑との繋がりが感じられないので少し印象が薄く感じてしまいました。
無論空の戦いはかっこよくて気持ちよかったのですが、リーバルがリト族の間でどういう存在なのかという背景をもう少し知りたかったところです。
神獣ヴァ・メドー内部はあの傾きのせいで、ゲームが終わってもしばらく視界が傾いたような錯覚が襲って来ました。あんまりゲームじゃ酔わないんですけどかなり酔い掛けましたね。
ところで、四神獣の名前について気になることが。
このヴァ・メドーの名前の由来は一体何なんでしょうか。
まあメタ的な視点から見ればメドリから来ているのは明らかなのですが、これまでの、ヴァ・ルッタやヴァ・ナボリスは、ゲーム内でも賢者の名前から取ったという事が判明していますが、メドリの場合時間軸のことを考えると、これまでにメドリという者は存在したのか?という話になってきます。
ルッタもナボリスもルーダニアも全て時のオカリナの賢者の名前から取られていますが、メドーだけは風タクにのみ登場している例外的な存在なので、今回のブレスオブザワイルドでも結構異質な立ち位置になっていると思います。
風タクのデザインとは少し違うという事も若干気になりますし、今回のリト族についての背景をいつかどこかで語って欲しいところです。
リトの英傑リーバル
他の三人の英傑とは一味違うリーバル。
彼は、退魔の剣に選ばれ王家直々の使命で姫のお付きとなったリンクに対して、対抗心を剥き出しにしています。
その対抗心の出処は「自分こそが最も相応しい」という自尊心の高さからでしょう。
しかし100年の時を経て、無念ながら魂だけとなってしまった彼は、リンクを認め、ゼルダを助ける使命を託します。
そこに、どういう心境の変化があったのかは知る由もありませんが、彼は彼なりに自分とリンク、そして姫に対して思う心を持っていたのだと思います。
リーバルは他の英傑と比べても素性や生まれが殆ど明かされていないので、彼の事を詳しく語ることは出来ませんが、今作のゼルダ姫と同じように、高貴な精神を持った他の英傑たちと比べて、彼もまた人間(?)臭いキャラの一人だと思います。
彼のリーバルトルネードは、ガノン討伐への道を切り開いてくれました。
ユン坊と英傑ダルケル
最後を飾るのは、初代ゼルダから今まで幾度も登場してきたデスマウンテン。
デスマウンテンのBGMをよく聞くと、初代のBGMのアレンジで興奮しました。
世界を巡りに巡った後に来たので、道中はもうサクサクと進んでいき、早々にゴロンシティに到着しました。
現族長と話を交わした後に向かった先で、英傑ダルケルの子孫であるというユン坊に出会います。
彼にはダルケルの護りを使えるという素晴らしい特徴があるのですが、その態度はダルケルとは裏腹にとても臆病で弱腰です。
しかし、やはり英傑としての魂は受け継がれているのか、怯えていても神獣退治には乗り気で、彼がいなければきっと神獣に乗り込むことはできなかったでしょう。
今回は共闘という感じではなく、今までのゼルダシリーズおなじみのメタルギアよろしくステルスアクションゲームでした。火山での戦いを期待していたので少し残念です。
神獣ヴァ・ルーダニアも所々躓いた部分はあるものの、もはやこのブレスオブザワイルドに慣れ尽くした自分には大きな壁になるような部分はなく、すんなりと神獣開放できました。
ゴロンの英傑ダルケル
彼は、正に英傑という言葉に相応しい豪胆な人物でした。
リンクを『相棒』と呼び、神獣の操作に苦戦しつつも鍛錬を積み重ねて物にし、いざという時はその力でリンクを守るという実に頼もしくあるその姿は、きっと見る者に壮大な安心感を与えたでしょう。自分も本当にカッコイイと思っています。
彼の姿は、はるか昔に存在した勇者に対して兄弟だと言い放ったゴロンの賢者にそっくりです。もしかすると、少しはその血を継いでいるのかもしれません。
最後のシーン、ハイラルを見渡しながら故郷に思いを馳せるダルケル。そして、神獣を開放するのに一役買ったユン坊の邂逅シーン。このシーンは何故だが不覚にも涙してしまいました。
この後、ユン坊の中では何か意識が変わったというような事を言っています。
遥か昔から続くゴロン族の高貴な精神、それは100年前のダルケルに、そして今のユン坊へと受け継がれ、その後もきっとその魂は受け継がれていくでしょう。
古の女神の時代から存在している最も古い種族ゴロン族。
ずっとこのハイラルの世界を支えて来た彼らの意志を継いだダルケルの護りは、リンクをいつも守ってくれる非常に頼もしい存在です。
ミーファ、ウルボザ、リーバル、ダルケル。
それぞれ突出した能力や性格を持った彼らは、皆本当にいいキャラをしており、ゼルダの物語にいい味を出していると思います。
最終決戦の全員集結のあのシーンも痺れるほどかっこよく、そしてハイラル王と共に消えていったシーンは物悲しい物がありました。
彼らの存在は、このブレスオブザワイルドの物語に欠かせない存在です。
しかしながら、物語全体において彼らは主役ではなく、あくまでも支える存在。今回の主役は別にいると考えています。
それは…
リンクとゼルダ姫
今作のブレスオブザワイルドの主軸、それは勿論リンクとゼルダです。
当たり前だろ!と思われる方もいられると思いますが、これは非常に重要なことなのです。
今回のブレスオブザワイルドの中には、2つの物語があります。
それは100年前の物語と、100年後の物語です。
そして無論百年後の物語の主役はリンクなわけですが、それでは百年前の物語も主役はリンクなのかと言えば、私はそうは考えません。
100年前の物語、それは言い換えれば、ゼルダ姫の物語だと言えます。
今まで、ゼルダの伝説シリーズは、そのゼルダという名を冠しながらも主人公はリンクであり、姫はあくまでサブでしかない、ということは往々にしてありました。
スカイウォードソードでは、今までのゼルダ姫とは趣向の変わった姿で登場し、一躍人気のゼルダとなりましたが、ではスカイウォードソードはゼルダも主役なのかと問われれば、それは少し違うなと考えます。
今回のゼルダ姫は、スカイウォードのゼルダとも、それ以前のゼルダ姫とも、どのゼルダとも違う全く新しいゼルダ姫です。
今までのシリーズでゼルダ姫は、その姿は幾度となく変わってきました。(風タクやSWS)
しかし、その本質は変わってはおらず、ゼルダ姫というのは絶対的な知恵の力の象徴であり、その能力は毎回リンクの冒険の上での大きな助けとなってきました。
しかしながら今回、記憶を見る順番は各々違うとは思いますが、大抵の記憶で見られるのが、少し頼りなさげで、いつも思い悩んでいる姫の姿です。
彼女は王家の生まれという境遇に対する自分の能力の低さに深いコンプレックスを抱いています。
歴代のゼルダ姫が宿していたという封印の力、その力が宿らず、周りの者達にも陰口を言われ、度々リンクに対して自分の思いの丈をぶつけていました。
一方今作のリンクは、正に勇者になるべくしてなった模範的な騎士。100年前に既に退魔の剣に選ばれガノン討伐の要となった、謂わばゼルダ姫とは真逆の存在です。
そんなリンクとゼルダが今までのシリーズの様な関係になるまでにどういう経緯があったかというのをしっかり描いているのが100年前の物語です。
今まで、リンクとゼルダは出会ったときから殆ど好感度MAXだったり、逆に殆ど関わりがなかったりしましたが、今回のようにリンクとゼルダの馴れ初めがきちんと描かれているのは今までに無かったので、今回のこの構成はすごく気に入っています。
そして、力の覚醒シーンについて。
なぜ今までゼルダに力が宿らずに、あのタイミングで力が覚醒したのか。
それは、その瞬間にゼルダがリンクのことを心の底から思っていたからです。
今回、占い師の予言によって、ガノンの復活は予期されていました。
そして前々からガノンに対抗することだけに注力を注がれ、恐らくゼルダは生まれた時からそれに向けた修行をしてきたのでしょう。
しかし、自分の対してコンプレックスを抱き、母親も無くしたゼルダは、例えばリーバルのような自分自身を思うことも、英傑達のように他人を思う余裕もなくなり、ただ無意識に義務的な修行をするようになってしまったのだと思います。
ただ王家に相応しい人間にならなければ、そういった強迫観念に囚われてしまい、本来大切な事に気づくことができなかったのです。。
しかし、個性溢れる英傑達やリンクと触れることによって、ようやくあの最後の瞬間、力をものにすることが出来た訳です。
こういう悩みや経験って誰にでもあるものですよね。
自分も、もっと頑張って認められなければならないなんて強迫観念によく囚われて、無駄に張り切りすぎてそれが空回りしてしまうということがよくあります。
今までのゼルダは、それこそ王家の姫と言った感じで、そんなに身近な存在に感じられませんでした。
テトラやSWSのゼルダは少し例外ですが、あちらもやはり自分に対しての自身に満ち溢れていると思います。
しかし今回は、自分達と同じような悩みを持って、自分たちと同じような失敗をするという、親近感が湧くようなゼルダ姫となっています。
だから今作のゼルダ姫は、歴代のゼルダの中でも一番好きなゼルダ姫になったかもしれません。
コンプレックスを抱えている人間臭い所、能力を持つリンクに対してどこかつっけんどんな態度をとる所、でもすぐに認めてしまう所、研究のことになると途端に早口で喋りだすところとか、可愛い、愛らしい。
人間なんて言うのはちょっと欠点があるくらいが一番いいんです。だから誰がなんと言おうと今作で一番可愛いのはゼルダ姫だと私は声高に主張していきます。
今まででと比べても一番心の底から助け出したいと思ったし、最後の笑顔を見れたときは本当に護れてよかった、この笑顔と思いました。
ゼルダの当たり前を見直すというコンセプト。
それは、このゼルダ姫にも宛てられているのです。
それと、見つけた方は多くいらっしゃると思いますが、ハイラル城にはゼルダの日記、研究帳、そしてハイラル王の日記が各所に置いてあります。
この日記は今作の背景を語る上では欠かせないようなゼルダの感情やハイラル王の思い、そしてリンク自身のことについても少し触れられています。
これに関してはここで語るということはしませんので、見つけていらっしゃらないかたは是非ご自身でハイラル城を探検してみて下さい。
ハイラル城以外にも、他の人物の日記や、世界の歴史にすこし触れているような文献が多数存在します。
やはりそういうものを全て把握してこそこのゲームを深く楽しめると思いますので、是非世界の隅々まで探索してみて下さい。
厄災ガノン
今作のラスボスである厄災ガノン。
遥かな昔から魔王となり世界を支配しようと企み続け、その強い思いが怨念とかした姿。
その姿はもはやゲルド族のガノンドロフという面影はなく、理性も完全になくなっています。
ハイラル図鑑を見ると、どうやら不完全な状態で復活したという記述があるため、アレはまだ真の姿ではないようですが、個人的にはやはり理性のあるガノンドロフが出てきてほしかったという思いがあります。
ここしばらくのシリーズはガノンドロフという存在が出ることはなく、大体がガノンとしての姿だったり、ガノンドロフの前世的な存在だったりしたので、久しく本編でガノンドロフの姿を見れてないのは物悲しく感じます。(無双の方では一応出ているが)
なので、これ以後のDLCや次回作で、ガノンについてもう少し描かれてほしいなと私としては思います。
マスターソード
100年前の記憶で、マスターソードに関する記憶が2つあります。
まずマスターソードを台座へと返す時、その時にゼルダがマスターソードに対して「貴女」と語りかけているのを見て、思わずにやけてしまいました。
そして、最後に思い出すであろう記憶、ゼルダの覚醒シーン。
そのシーンで、リンクが倒れた後に、「あの」効果音がなった瞬間に、もう思わず声が出てしまいました。あれは卑怯だ…。
据え置きゼルダではSWSの次作というのもあって、PVでは最初マスターソードが錆びているという映像が出て、あの物語の後にこう来るかなんて思いましたが、このサービスは本当に嬉しかったです。
マスターソードに宿る彼女、その存在は時のオカリナでも見ることが出来ます。
彼女はマスターソードの中で眠りについたあの時からも、ずっとその所有者を見守り続けているのです。
最後に
と言うことで、ここまで飾り気なく自分の思うがままをただ只管に書き続けた結果、こんなに冗長な記事になってしまいました。正直こんなに書く予定じゃなかった。
でも、これでもまだまだ語るべきことはあるんです。
サブチャレンジの話だったり、カッシーワさんの話だったり、パーヤの話だったり。
ですが書いているといつまでも終わらないので、今回はここまでにしときます。
後、少しだけ時系列に関して触れておきますが、今作の時系列はリンク敗北ルートのはるか未来なのかななんて思っています。
回生の祠という存在が、初代ゼルダ姫が眠っていたとされる場所なんじゃないかと想像させる記述があるのが根拠です。
ですが自分のような若輩者の考察を連ねるよりも、もっと詳しいゼルダ歴史学者さん達の時代考証の方がよっぽど詳しく正しくかいていると思うので、これからそういう記事が増えてほしいところです。
そして話は最初に戻るのですが、今作のブレスオブザワイルドは本当にゲーム史に残る傑作だと思います。
そんなブレスオブザワイルドですが、それでは次回作はどうなるのか、ハードルが高くなっているんじゃないかと言われるとそうは思いません。
ゼルダは毎回新しい事にチャレンジしているシリーズで、今作はオープンエアーという物を題材にして見事成功させました。
それでは今後はこのままこのオープンエアーゼルダを続けていくのかと考えると、今までのゼルダを見てもそうはならないと思います。
むしろ今度のゼルダはゼルダの当たり前をふんだんに盛り込んだ作品を出してくるのではと予想しています。そもそも次回作が果たして出るのだろうかという問題もあるわけですが。
そんなこんなで、やっと僕もこの記事を書き終えることができそうです。
自分が勝手にやっていることなのですが、こんなだらだら駄文を書き続けるほどゼルダに対する愛は深いということはわかっていただけたかなと思います。
そして、祠やらコログやらサブチャレンジやらという要素が残っていますので、まだまだ自分のブレスオブザワイルドは終わらないでしょう。
これからも、DLCでハードモードや追加ストーリーもあるというゼルダの伝説ブレスオブザワイルド。
改めて言いますが、このゲームに出会えて、そしてゼルダの伝説という作品を本当に好きでよかった。
心の底から、僕はそう主張します。
プロデューサーの青沼英二さん。ゼルダを支えて来た宮本茂さん。現社長の君島達也さん。
そして、今作のEDで名前が記載されていた、前社長故・岩田聡さん。
そしてこの作品を作り上げた全てのスタッフ達に、心の底から賞賛を。
本当にありがとうございました。